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勝手に作家紹介 その5 漫画家・曽田正人「昴(すばる)」

連載・企画 2015年7月2日

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勝手に作家紹介、第5回目は漫画家・曽田正人氏。

漫画家・曽田正人

代表作に「CAPETA」「シャカリキ!」「テンプリズム」など。
人物の集中力や熱気の描写がとにかくスゴイ。特に天賦の才をもつ主人公を描かせたら右に出る人は居ないんじゃないでしょうか。

バレエやカートなど、感情移入しづらいジャンルでありながら有無を言わせない表現力です。

昴 -スバル-(ビッグコミックス)全11巻

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引用元:昴 -スバル- (1) (ビッグコミックス)

幼少期〜

幼くも脳腫瘍に倒れた双子の弟・和馬に、身振り手振りでなんとか伝えようと必死のすばる。和馬に見てもらおうと、バレエスクールに通う同級生・真奈から「アルブレヒト」の振り付けを教わるも、タイミング悪く和馬が亡くなってしまいます。
双子の弟と共に「自分も死んでしまった」すばるを立ち上がらせたのは、「もう一度踊りたい」欲望からでした。
和馬と同じ病院に入院していたキャバレーの支配人・五十鈴(いすず)が、徹底的にダンスの技術を叩き込みます。

〜ローザンヌ編

天賦の才を見抜いた五十鈴によって6年間英才教育を受けたすばるは、新人バレリーナの登竜門・ローザンヌ国際コンクールを目指します。五十鈴から依頼されロシアの名優・ワーニャがマンツーマンで指導、下積みされた技術を計るコンクールでありながら、技術力はもちろん表現力で観客だけでなく審査員までも魅了。逆境さえエネルギーに変え、見事にローザンヌでスカラシップに加え最優秀賞をも獲得しますが、真っ先に知らせたかった五十鈴は持病で亡くなっていました。
またもや敬愛する人に先立たれたすばるは、破格の約束されたスクール入学という道を蹴り、プロダンサーになるべく単身アメリカに渡ります。

以降、アメリカ(プロダンサー)編で、バレエ界の女王であるプリシラに別の進化の先を見つけ、アメリカから国外退去され「昴」が終幕。
続編「MOON -昴 ソリチュード スタンディング-」では報われなかった彼女の魂も救われ、完結しました。

MOON -昴 Solitude standing-(ビッグコミック)全9巻

moon-subaru

引用元:MOON -昴 Solitude standing-(1) (ビッグコミックス)

「昴」「MOON」全編を通して「踊る喜び」を描いた漫画で、徹底的に叩き込まれた技術と究極の自己陶酔による表現力は、観客・ときには同じ舞台のダンサーをも魅了します。
しかし、ダンサーが一生を掛けて燃焼させる魂を異常な短期間で爆発させてしまうため「ダンサーとして驚くほど短命」だと感じる者は感じていました。

なかでもコンクールの舞台ごとという短時間で異常な進化を遂げるローザンヌ・決勝戦は圧巻です。
高熱にうなされながらも最悪のコンディションを「そこだけ無重力のような」表現力に変換するクラシック、ダンスへの渇望を「観客席まで風圧が届くような」エネルギーに変換するコンテンポラリー、踊る喜びを観客まで共感させる恍惚で表現する自由演技。

バレエ漫画ははじめてながら、すばるに感情移入し涙してしまいました。

孤高の天才であるが故に「誰も自分のことを理解してくれない」天涯孤独のすばる。
カートに魅入られた少年を描いた「CAPETA」も同じく、天賦の才が芽を出すその表現がとにかく魅力です。

黒木メイサさん主演で映画化もされました。

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